若年層(10代〜30代)の眼瞼下垂手術、保険診療の基準が厳格化している理由と選択肢


最近、10代から30代といった若い世代の方から「まぶたが重い」「開きづらい」「眼瞼下垂ではないか」というご相談をいただく機会が非常に増えています。若い方でも長年ハードコンタクトレンズを使用されている方や、まぶたを強くこする癖がある方などは、まぶたを持ち上げる筋肉(腱膜)が緩んでしまうことがありますし、機能障害が強く、困っている方は実際いらっしゃいます。
今回は上下の逆まつ毛があり、また眼瞼下垂により視界の狭さ感じておられる、20代の女性患者様の2回にわたる手術治療についてご紹介します。患者様の承諾を得て写真を掲載しております。ご協力誠にありがとうございました!
また最近、健康保険を適用した眼瞼下垂症手術の審査基準が全国的に非常に厳しくなってきています。今回は、後半でなぜ若年層の保険適応が難しくなっているのか、そしてどのような選択肢があるのかについて詳しく解説します。

上下に逆さまつげがあり、逆さまつ毛により目が見えにくい状態が続いていること、裸眼ではまつ毛が刺さり、眼鏡を使用することが難しいことにお悩みでした。
下まつ毛の逆さまつ毛が特にひどく、辛そうです。まつ毛の向きが悪く、蒙古襞(目頭の突っ張り)も原因と考えられます。
今回は2種類の手術となりました。目頭切開と下まつ毛の逆さまつ毛矯正を同時に行う内眥形成術の後、上まつ毛の矯正をする重瞼形成術を実施しました。

内眥形成術直後の様子です。
ご自宅での過ごし方をお伝えし、翌日はオンライン診察でご様子を伺います。

翌日はオンライン診察です。
痛みはありませんが、腫れています。翌日はどうしても腫れてしまいますが、手術後48時間はとにかく冷やす!が腫れを少なくきれいに治す秘訣です。また、お酒を飲むことや湯船に浸かるようなことは血流を良くしてしまい、腫れやすくなりますので控えてください。
3日目以降は特に行動制限はなく、もう冷やさなくてOKです。

1週間後、抜糸のために来院されました。

1ヶ月後、腫れもなくきれいです。術後良好のため、2回目の手術の日程を決めました。

内眥形成術2ヶ月後、さらに腫れもきれいにひいて、顔の印象はさほど変わらず、自然にぱっちりしています。

2回目の手術、重瞼形成術を行った翌日の様子です。痛み、出血もありません。

1週間後、抜糸のために来院されました。まだ腫れがありますが、まつ毛が目に入らず、ぱっちりです!

1ヶ月後、赤み、腫れもひいてきました。「気に入っています!」と笑顔を見る事ができて良かったです。まつ毛パーマはいつからOKですか?とご質問がありました。術後の経過は個人差がありますが、2週間は避けたほうが良いでしょう。

4ヶ月後、赤み、腫れもなく経過良好です。下まつ毛の向きがやや元に戻っていましたが、ご本人は気にならないとのことで、フォロー終了となりました。この春から新社会人として頑張っていらっしゃるのですが、会う度にしっかりして来ている印象があり、このタイミングで手術を受けられて良かったと思っております。今後もさらなるご活躍をお祈りしております。写真のご協力誠にありがとうございました!

1. 保険診療における眼瞼下垂の本来の目的
健康保険が適用される医療は、病気やケガによる「明らかな機能障害を治療すること」が前提です。
眼瞼下垂手術における保険適応の主な基準は、 ・まぶたが瞳孔(黒目の中心)にかかっており、明らかな視野狭窄(見えにくさ)があること ・日常生活に具体的な支障が出ていること など、医学的・客観的な視野障害が存在することです。
「目を大きく見せたい」「二重の幅を整えたい」といった整容面(見た目)の改善だけであれば、病気の治療ではないため、国の制度上、保険の対象外となります。
また、近年はまぶたの手術をすでに美容で行っているケースが多く見られます。そのような方の再手術については原則的に保険適応とするのは困難です。なぜなら今ある眼瞼下垂が、過去の手術によるものなのか、それとも病気によるものか、判断できないからです。詳細な理由については過去のブログをご覧ください。
2. 若年層の保険審査が厳格化している背景
若い世代の方の場合、まぶたの開きにくさを感じていても、無意識に眉毛を持ち上げたり額の筋肉を使ったりして視野を確保できているケースが多く見られます。
この場合、自覚症状(肩こり、頭痛、まぶたの重さなど)はあっても、客観的な検査(視野検査や瞳孔との位置関係の測定など)を行うと「日常生活に支障をきたすほどの重篤な機能障害」とは認められないことがあります。
近年、美容目的の二重形成や目元の整形が保険診療で行われてしまうことを防ぐため、支払基金や各保険者による審査が急速に厳格化しました。特に40歳未満の方に関しては、詳細な検査データや症状の記録がなければ保険適応として認められないケースが増えてきています。
3. 診察後の主な選択肢
当院では、専門医によりまぶたの状態を正確に診断した上で、以下のような選択肢をご提案しています。
① 保険適応での手術
客観的な検査(瞳孔とまぶたの位置関係、視野検査など)を行い、国の定める明確な機能障害が確認できた場合は、保険適用での手術をご案内します。 ※保険手術の目的はあくまで「視野の確保(機能改善)」となります。
② 自費診療(自由診療)での手術
機能障害の基準には達していないものの、まぶたの開きを改善したい場合や、二重幅の希望、左右差の微細な調整、傷跡の目立ちにくさなど整容的な仕上がりにもこだわりたい場合は、自費診療(自由診療)での手術が適しています。
③ 経過観察・保存的治療
ハードコンタクトレンズの使用をソフトレンズや眼鏡に切り替えるなど、まぶたへの負担を減らしながら経過を見る選択肢もあります。
最近は軽度の眼瞼下垂であればアップニークミニという点眼で、対症療法的に治療することが可能になりました。しかし保険適応はないので、症状が改善するのか試す、または必要な時に使用する、という使用方法が良いのかもしれません。
まぶたの開きでお悩みの若い方へ
私自身は、これから社会に貢献してくれる若年者こそ、手術を受けて生活改善を得られるメリットが大きいと感じており、また、社会に対するインパクトも大きいと考えています。そのためなるべく困っている若年患者さんには手術を受けていただきたいと考えています。
「保険が通るかどうか」は、ご自身の見た目の感覚だけでなく、専門的な計測や眼科検査を行って初めて判断できるのです。
若年者だから通らない、というわけではありませんが、保険診療を取り巻く環境は年々厳しくなってきており、過去には認められていたケースでも現在は保険では難しくなってきています。
当院では、医学的な基準に基づいた正確な診断を行うとともに、患者様お一人おひとりの生活やお悩みに合わせた最適な治療法をご提案いたします。まぶたの重さや開きにくさを感じている方は、まずは一度お気軽にご相談ください。
逆まつ毛手術について
元町マリン眼科では逆さまつ毛や眼瞼下垂の日帰り手術を行っています。
逆まつ毛は以下のような症状を引き起こします。
常に睫毛が入ってチクチクする
充血や目やにが改善しない
瞼が入り、異物感が常にある
目が霞んで見づらい
睫毛が良く入るので、頬を手で引っ張るくせがある
などが代表的な症状です。
逆まつ毛でお困りの方は、元町マリン眼科へご相談ください。
逆さまつ毛手術について 手術の費用:3割負担で片眼で6000円~50000円(術式により違いあり)です。両眼はその倍です。 また、初診時に感染症チェックのための採血を行います。初診料と合わせて4、5千円程度かかります。
手術時間は片眼で15~30分程度で、局所麻酔下に行います。
ダウンタイム:2~3日はかなりまぶたが腫れます。必要であれば1週間後に抜糸を行います。内出血は2週間程度で徐々に軽快します。1ヶ月位は朝むくんだり、まぶたが赤いなどの症状が見られることがあります。傷の赤みは半年くらいで徐々に改善していきます。
リスク:出血、痛み、低矯正、再発、創感染、薬剤アレルギーなど、ごくまれに瘢痕形成。
この記事の執筆者

元町マリン眼科
院長 蓮見由紀子
所属学会・認定医
医学博士
日本眼科学会認定専門医
横浜市立大学附属病院非常勤講師(ぶどう膜専門外来)



