毎日の睫毛抜去から解放された逆まつ毛の症例
- HASUMI
- 5月10日
- 読了時間: 4分
今回は、90代の女性の方で、最近経結膜ミューラー筋タッキング手術を受けて、煩わしい逆まつ毛から解放された症例をご紹介いたします。(御本人の承諾を得て写真を掲載させていただいております。ご協力ありがとうございました!)
逆まつ毛を抜くために毎日眼科に通っていた女性
近くの眼科で、手術はすごく痛いから、毎日抜いた方が楽だと言われて、毎日、睫毛を抜くために眼科に通っていたとのことでしたが、ご家族に連れられて相談にいらっしゃいました。
両眼とも、目と眉がだいぶ離れており、皮膚がたるんでかぶさっているのですが、左の方がより挙筋機能の低下があるので、より被さって、睫毛を内側に倒しているタイプの逆さまつげです。

皮膚が余っているのが問題なので、根本的な解決は皮膚を取ることです。ですのでまずは眉下切開をお勧めいたしました。テープによるシミュレーションでも良さそうでした。しかし、抗血小板薬を内服しており、休薬が難しいかもしれないとのことでした。

高齢の方ではよくあることですが、内服したまま行うと眉下切開はかなりたくさん出血し、術後の腫れもひどくなることが予想されます。御本人の希望もあり、経結膜ミューラー筋タッキングによる埋没法を行うことにしました。

次の日の腫れはこのくらいでした。睫毛の向きは改善していると思いますが、手術の前日の夜にも近所の眼科で抜いてもらっていたそうなので、1本も生えていませんでした。

1週間後に受診された時には、「手術以降、1回も抜きに行ってない!これまでは2時間おきに点眼しないと行けなかったのも、1日1回くらいしかつけてない」とおっしゃってくださいました。逆まつ毛はそれほどまでに煩わしく、毎日でも抜きに行きたくなるようなご病気なのです。

1ヶ月後に受診された時のご様子です。腫れはだいぶ落ち着きました。もう、抜きに行くことはなくなったそうです。そのお陰で睫毛は外向きに生えてきておりました。

経結膜ミューラー筋タッキングについて
今回行った手術は、裏側から瞼を持ち上げる筋肉の一つであるミューラー筋を縫い縮めて、ついでに皮膚側に二重を作ることで眉下の皮膚をたくし上げて短縮を図りました。
左はやや挙筋機能の低下があり、切らないと右のようにはならないのですが、それでも切らずに煩わしい逆まつ毛が改善したので喜んでいただけました。もう心配なことはないとのことで、元の病院で今後は経過を見ていただくことになりました。
埋没法はいつか緩む可能性がありますが、切開しないため手術時間が短く、ダウンタイムが短いのが利点です。高齢の方は「いい歳して手術なんて」とおっしゃる方が多いのですが、残された時間を快適に過ごせるために負担の少ない方法をご提案していきますので、お困りの方はぜひご相談ください。
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逆まつ毛手術について
元町マリン眼科では逆さまつ毛や眼瞼下垂の日帰り手術を行っています。
逆まつ毛は以下のような症状を引き起こします。
常に睫毛が入ってチクチクする
充血や目やにが改善しない
瞼が入り、異物感が常にある
目が霞んで見づらい
睫毛が良く入るので、頬を手で引っ張るくせがある
などが代表的な症状です。
逆まつ毛でお困りの方は、元町マリン眼科へご相談ください。
逆さまつ毛手術について 手術の費用:3割負担で片眼で18000円前後です。両眼はその倍です。 また、初診時に感染症チェックのための採血を行います。初診料と合わせて4、5千円程度かかります。
手術時間は片眼で15~30分程度で、局所麻酔下に行います。
ダウンタイム:2~3日はかなりまぶたが腫れます。1週間後に抜糸を行います。内出血は2週間程度で徐々に軽快します。1ヶ月位は朝むくんだり、まぶたが赤いなどの症状が見られることがあります。傷の赤みは半年くらいで徐々に改善していきます。
リスク:出血、痛み、低矯正、再発、創感染、薬剤アレルギーなど、ごくまれに瘢痕形成。
この記事の執筆者

元町マリン眼科
院長 蓮見由紀子
所属学会・認定医
医学博士
日本眼科学会認定専門医
横浜市立大学附属病院非常勤講師(ぶどう膜専門外来)