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  • 執筆者の写真HASUMI

中心性漿液性網脈絡膜症ってどんな病気?

更新日:2023年2月21日

本日は、網膜に水がたまる病気・中心性漿液性網脈絡膜症(しょうえきせいもうみゃくらくまくしょう)の解説です。



中心性漿液性網脈絡膜症とは?


典型的な臨床像は、働き盛りの中年男性で、仕事が忙しく寝不足でストレスが多い、ストレスのせいでタバコについつい手をのばしてしまう…、そういえば最近右眼の視力が落ちた気がする…。

忙しいのでもちろん通院する暇もなく、1~2か月様子を見ていたが、改善する様子がない。やっと重い腰を上げて眼科に来て、言われる病名が「中心性漿液性網脈絡膜症ですね」というわけです。




中心性漿液性網脈絡膜症の症状


視力低下は軽度、片眼ずつ見ると患眼は反対の眼に比べてぼやけて薄暗く見える、または小さく見える、歪みを自覚するなどです。


瞳孔を開いて眼底検査をすると網膜の下に水がたまっています。この水は、網膜の下の脈絡膜という膜の血管にミクロの穴が開いたような状態になって水が漏れて網膜下に水がたまるといわれています。健康な網膜であれば、網膜の最下層の色素上皮という細胞の層が余分な水は吸収するため、水がたまることはありませんが、何らかの原因で水が吸収されなくなって溜まってしまうと言う事が推測されています。


網膜とは、眼球の奥の内側の膜で、ものが映るスクリーンの役割をする部分です。その下に水がたまると、もの部分がゆがんで見えてしまうのです。



中心性漿液性網脈絡膜症の診断方法


光干渉断層撮影装置(OCT)で検査をすると、網膜の断面図の写真が撮れます。以前は顕微鏡で網膜の下の水を心の眼で見ていたのですが、20年前くらいにOCT検査が一般的になり、この病気は非常に診断しやすくなりました。



眼底写真では、網膜の中心である黄斑部(少し黒ずんでいる部分)周辺、2乳頭径くらいが網膜の反射が弱く、水がたまっているのがわかります。



OCT装置で取った網膜の断面図です。中心は黄斑といって凹んでいるのが良い形ですが、この病気の方は網膜の下に黒い空間があります。水がたまっているのです。

蛍光眼底造影検査は、脈絡膜の血管の漏出点を判断するのに有用です。



中心性漿液性網脈絡膜症の治療方法


この病気は自然軽快傾向があるため、通常は積極的な治療をしないで経過観察をします。しかし再発することもあります。

網膜の循環を改善するために内服薬を投与して様子を見ますが、なかなか改善しない場合は漏出点をレーザー凝固すると水漏れを止めることができます。しかし、漏出点が黄斑という網膜の中心部分である場合は、レーザーによって中心暗点が出来てしまう可能性があるためレーザーできません。


近年では、再発を繰り返すものに対してはPDTレーザーという特殊なレーザーを打つこともあります。しかしやはり黄斑の部分に打つと、副作用が残ってしまう可能性があり、適応は慎重な判断が必要です。


タバコはこの病気の悪化要因であるため、喫煙者には禁煙を勧めております。ストレスや寝不足も良くありません。

先日お越しの患者様は、最近忙しいですか?と尋ねたところ、「中国のドラマにはまって深夜3時までドラマを見ていて寝不足気味だった」とのこと。まずは禁煙してドラマは1日1話にしてくださいね、とアドバイスしました。


今日は働き盛りの方に多い、中心性漿液性網脈絡膜症のお話でした。

本日もブログをご覧いただきありがとうございました。



この記事の執筆者


元町マリン眼科

院長 蓮見由紀子

所属学会・認定医

医学博士

日本眼科学会認定専門医

横浜市立大学附属病院非常勤講師(ぶどう膜専門外来)





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