ボトックスが先?ハイフが先?治療の間隔は開けた方が良い?複数の美容施術を受ける際の注意点
- HASUMI
- 5 日前
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「シワもたるみも気になるけど、どの治療を組み合わせたらいいの?」「ボトックスとレーザー、どっちを先に受ければいいの?」
美容医療にご興味のある方なら、こんな疑問をお持ちかもしれませんね。最近では、お肌のお悩みに合わせて複数の施術を組み合わせる「併用療法」が人気です。それぞれの治療の良いところを活かすことで、より満足度の高い結果が期待できるからです。
しかし、安全に、そして効果を最大限に引き出すためには、施術の順番や間隔がとても大切になります。特に、ボトックス注射と、レーザー、HIFU(ハイフ)、RF(高周波)といった「熱を使う治療」を併用する際には、いくつかの注意点があるのです。
今回は、ボトックスビスタと熱を使う美容施術を組み合わせる際のポイントを、分かりやすく解説していきます。

ボトックスってどんな治療?熱に弱いの?
まず、ボトックスビスタについて簡単にご説明します。ボトックスは、ボツリヌス菌から作られるタンパク質の一種を注射することで、筋肉の動きを一時的に抑える治療です。具体的にはボトックスの主成分であるボツリヌス毒素が神経筋接合部においてアセチルコリンという神経伝達物質の放出を阻害します。作用を受けた筋肉は一時的に収縮できなくなるため、筋肉の収縮でできる「表情ジワ」(おでこの横ジワ、眉間の縦ジワ、目尻のシワなど)の改善に使われます。他にも、エラの張りを改善して小顔に見せたり、ワキや手足の汗を抑える多汗症治療にも使われています。
注射後、数日で効果が出始め、1〜2週間でピークに達します。効果の持続期間は、個人差がありますが、だいたい3〜6ヶ月くらいです。
ボトックスは「熱」に弱いデリケートな成分
実は、ボトックスの主成分であるボツリヌス毒素は、とてもデリケートなタンパク質で、熱に弱いという性質があります。ボツリヌス毒素は具体的には80度の高温に持続的に30分間さらされると完全に失活してしまうと言われています。しかし80度に達しない温度でも熱による部分的な変性で活性の低下や効果の減弱のリスクがあります。
クリニックでは、ボトックス製剤を注射する直前まで冷凍保存して、効果が落ちないように管理しています。このことからも、熱に対する弱さが分かりますよね。
施術後の「熱」は要注意!避けるべき行動と期間
ボトックス注射後、注入された薬剤が狙った場所にしっかり定着し、効果を最大限に発揮するためには、体温が急激に上がったり、血流が良くなるような行動を避けることがとても大切です。熱によって血管が広がると、ボトックスが意図しない場所に広がってしまったり、早く体から排出されてしまったりするリスクがあるからです。
特に、以下の行動は、注射後しばらく控えるようにしましょう。
激しい運動(ジム、ホットヨガなど): 体温が急激に上がり、大量の汗をかくような運動は、最低3日〜1週間程度は避けるのがおすすめです。
飲酒: お酒を飲むと体温が上がり、血流が良くなるため、注射直後は控えるべきです。日本酒1合で体温が2℃上がることもあると言われています。
高温のお風呂、サウナ、岩盤浴: 高温のお風呂に長く浸かったり、サウナ(室温80〜100℃近く)や岩盤浴は、体温を著しく上昇させるため避けるべきです。サウナに15分入るだけで体温が0.8℃上昇するという報告もあります。
マッサージ: 注射した部分を強くこすったり、マッサージしたりすると、ボトックスが他の場所に流れてしまい、効果が薄れたり、意図しない筋肉に作用して表情のひきつりなどの副作用につながる可能性があります。最低5日間〜1週間は避けるようにしましょう。
これらの行動は、ボツリヌス毒素が神経筋接合部にしっかり結合するまでの初期段階(定着期間)に特に影響が出やすいので、注射後1週間程度は控えるのが安心です。
IPLやレーザー治療との併用:順番と間隔は?
IPLやレーザーなどの色調改善を目的としたシミ治療は、肝斑やそばかす、肌のトーンアップなど、様々な肌悩みに対応する治療です。特定の光を肌に当てて、熱エネルギーで肌を改善していきます。
ボトックスが先の場合:1〜2週間空けましょう
ボトックス注射を先に受けた後にレーザー治療を行う場合、約1〜2週間の間隔を空けるのがおすすめです。
理由は2つあります。
やけどのリスクを避けるため: ボトックス注射の後に、一時的に注射痕や内出血が残ることがあります。レーザーは特定の色に反応する性質があるため、これらの部分にレーザーを当てると、やけどを引き起こすリスクが高まります。注射痕や内出血が完全に治まってからレーザーを受けるようにしましょう。
ボトックスの効果を保つため: レーザー治療も熱を発生させるため、ボトックスが筋肉にしっかり定着し、安定するまでの期間(約1〜2週間)を確保することで、熱による効果の減弱を防ぎます。
レーザーが先の場合:同日施術も可能です
IPLやレーザー治療を先に受けた後にボトックス注射を行う場合は、原則として同日施術が可能です。レーザー治療は肌の表面や浅い部分に作用することが多く、ボトックスを注入する筋肉層に直接的な熱の影響を与えるリスクが低いと判断されるためです。
ただし、レーザー治療によってかさぶたができたり、強い炎症や腫れが見られる場合は、ボトックス注射が難しくなることがあります。その場合は、肌の状態が落ち着くまで待つ必要があります。
おすすめの順番は「シミ治療が先、ボトックスが後」
ボトックスとシミ治療を併用するなら、「シミ治療が先、ボトックス注射が後」の順番が最もおすすめです。この順番なら、同日施術も可能な場合が多く、ボトックスの効果が熱で弱まるリスクも避けられます。
HIFU(ハイフ)治療との併用:順番と間隔は?
HIFU(ハイフ)は、高密度の超音波エネルギーを肌の奥深く(筋膜や皮下組織)に集中的に当てて、たるみを引き上げたり、肌のハリを改善したりする治療です。肌の表面にはダメージを与えずに、内部にピンポイントで熱を加えるのが特徴です。照射された部分では、瞬間的に最大65℃、内部組織では60〜70℃もの熱が発生します。
ボトックスが先の場合:2週間以上空けましょう
ボトックス注射を先に受けた後にHIFU治療を行う場合、最低でも2週間以上の間隔を空けることが強く推奨されます。
HIFUは、ボトックスが作用する筋肉層に近い深さに、60〜70℃という高温の熱を直接加えます。ボトックスは熱に弱いタンパク質なので、注入直後にこのような強い熱にさらされると、効果が弱まってしまう可能性が非常に高いからです。ボトックスが筋肉にしっかり結合し、効果が安定するまでに約2週間かかると言われています。この期間を待つことで、HIFUの熱による影響を最小限に抑えられます。
HIFUが先の場合:同日施術も可能です
HIFU治療を先に受けた後にボトックス注射を行う場合は、原則として同日施術が可能です。HIFUは肌の深層に熱を加えますが、皮膚表面へのダメージが少ないため、施術直後でもボトックス注射の針を刺す部分の肌の状態に大きな問題が生じることは稀だからです。
ただし、HIFU施術後に肌が赤くなったり、痛みが出たりする副反応が見られる場合は、ボトックス注射を避けるか、症状が落ち着くまで延期することが医師の判断で推奨されます。
おすすめの順番は「HIFUが先、ボトックスが後」
HIFUとボトックス注射を併用するなら、「HIFUが先、ボトックスが後」の順番が最もおすすめです 。この順番なら、同日施術も可能な場合が多く、ボトックスの効果が熱で弱まるリスクを回避できます。
HIFUとボトックスの相乗効果
HIFUとボトックスは、それぞれ異なる方法で顔の悩みにアプローチするため、組み合わせることでより高い効果が期待できます。
HIFU: 肌の土台となる筋膜やコラーゲン層を引き締めて、たるみを改善し、全体的なリフトアップ効果をもたらします。
ボトックス: 表情ジワを解消したり、エラなどの筋肉のボリュームを減らして小顔効果をもたらします 。
HIFUによる引き締めと、ボトックスによる筋肉の縮小が、ほぼ同じ時期に効果のピークを迎えることで、よりはっきりとした小顔効果やリフトアップ効果を実感しやすくなると言われています。
複数の美容施術を受ける際の共通の注意点のまとめ
複数のお悩みを一日で改善できるボトックス注射とレーザー、HIFU、RFといった熱を使う併用療法は、組み合わせることでより高い美容効果が期待できます。また、忙しくてなかなか通院できない方にも魅力的ですが、以下のような点に注意しましょう。
一般的には、熱を使う治療を先に、ボトックス注射を後にするのがおすすめです。この順番なら、同日施術が可能な場合が多く、ボトックスの効果が熱で弱まるリスクを避けられます。
もしボトックスを先に受けた場合は、レーザーやRF治療なら1〜2週間、HIFU治療なら2週間以上、間隔を空けるようにしましょう。
施術後は、体温が上がるような行動やマッサージは1週間程度控えることが大切です。
ボトックスの再注入は、3ヶ月は間隔を空けて、抗体ができるリスクを避けましょう。
ご自身の肌の状態や目的に合わせて、最適な治療計画を立てるためにも、必ずカウンセリングでよく相談し、現実的な期待値を持つようにして施術を受けるようにしてくださいね。