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執筆者の写真HASUMI

新幹線で霰粒腫切開に来た男の子

本日は、最近関西からはるばる新幹線で霰粒腫摘出に来てくれた男の子の症例のご紹介です。ご家族の方のご厚意で写真を掲載させていただいております。お母様もブログを読んで当院を見つけたそうなので、困っている方の後押しになれば、とご協力を快諾してくださいました!



大学病院での切開を勧められた子どもの霰粒腫


2ヶ月前から左の上まぶたに霰粒腫ができ、かなり大きくなってきたとのこと。患者さんのお住いの近くの眼科ではことごとく切開を断られ、ついには大学病院を紹介されたのですが、全身麻酔がネックとなり、ブログで見つけた当院を頼ってやってこられたそうです。


下の写真はお母様から頂いた、一番ひどかった時のもの。黒目にかかる大きな霰粒腫です。


その後一回破裂したそうですが、まだしこりが残っており、表面は赤くガサガサしていました。




お子様ご自身も覚悟してきたようで、手術を受けるんだという気合が感じられました。

テープ麻酔を貼って待っていてもらい、手術の準備をして切開を行いました。麻酔はなしで手術時間は十数秒だったと思いますが、ほとんど泣くこともなく、すごく頑張って手術に耐えてくれました。


その日は日帰りで地元に帰るといい、本当に手術のためだけにはるばる新幹線でお越しになったのです。せっかくだから近くを観光しては、とアンパンマンミュージアムをおすすめしておきました。




元町マリン眼科から徒歩で行ける中華街にいかれたようです。切開直後の内出血で腫れていますが、御本人はケロッとしていますね!4歳とは思えない落ち着きで頼もしい限りですね😌



お子様の霰粒腫切開直後の腫れ具合



夜、お母様から感謝のメッセージとともに術後の写真が送られてきました。切開当日でもこんなに良くなるんですね!当院では次回の診察は1週間後にしているので当日の様子を見ることは滅多にないので貴重な写真です。





御本人も鏡を見て小さくなった、と喜んでいる様子で、幼稚園で友達に指摘されたりして本人も気にしていたようで、切って良かった、とお母様からメッセージを頂きました。わざわざ新幹線ではるばる来て痛い思いをした意味をきっと理解してくれることでしょう。



治癒までの期間を短縮できる霰粒腫摘出


このように、軟膏や点眼だけでは数ヶ月かかる霰粒腫も、切開を行うとかなり縮小できることがあり、治癒までの期間を短縮できます。ただ、霰粒腫は時間をかければいつかは吸収される疾患ですので、手術は絶対適応ではありません。保護者の方には切るか、切らないか、またどこで切るか、麻酔するかしないか、を選んでいただくことになります。

霰粒腫はころっと出るようなものではなく、赤くなっている部分は炎症を起こしています。中には肉芽腫という半分粘液のような膿のような組織が入っていて、境界がはっきりしているようなものではないので、切ってすぐにぺったんこになるような手術ではありません。ましてやお子様の無麻酔であれば出せるだけ出すのが目標です。


1週間後にはかなり良くなっているということはこれまでもお示ししてきましたが、直後の写真はお示ししていませんでしたので、小さい子の霰粒腫でお困りの保護者の皆様のご参考になれば、と今回お写真を掲載させていただきました。


最近ブログの閲覧数が減ってがっかりしていますが、いいね!やフォローで励まされます。ブログを応援して下さる方は是非いいね!をよろしくお願い申し上げます。


当院での子どもの霰粒腫摘出術について


当院では、小さいお子さんの霰粒腫も全身麻酔無しで切開しています。皮膚麻酔はテープを1時間前に貼ってきて来てもらいますが、テープ麻酔をしても表面だけの麻酔なので、切開は痛みを伴います。注射麻酔はできそうな年齢のお子さんには行いますが、麻酔が効くまでには時間がかかるため、手術時間が長引くのもお子さんにとってはストレスです。さらに、炎症を起こしている組織には局所麻酔はあまり効きません。最終的には怖くてみんな泣きます。


苦痛をなるべく短時間で済むように色々工夫をして行っています。切るほどの霰粒腫は炎症を伴っているので切れば出血は必ず起こります。縫合するお時間はありませんので、ガーゼでしばらく圧迫してもらいます。帰宅後にガーゼは外してもらい、止血していればあとは軟膏を塗って過ごしていただきます。

また、手術後は出血や腫れは必発です。霰粒腫はころっと出るようなものではなく、切れば明日治るものではありません。赤くなって薄くなった皮膚はすぐには元の色には戻りませんが、いつかは必ずきれいになります。



霰粒腫手術の費用やリスクについて


手術の費用:3割負担で1眼瞼につき2400円程度、初診料と合わせて3千円程度かかります。

手術時間は5~10分程度で、局所麻酔下に行います。

ダウンタイム:1~2日はまぶたが腫れます。必要な方のみ1週間後に抜糸を行います。

内出血は1~2週間程度で徐々に軽快します。


リスク:出血、痛み、低矯正、再発、創感染、薬剤アレルギーなど、ごくまれに瘢痕形成。


この記事の執筆者


元町マリン眼科

院長 蓮見由紀子


所属学会・認定医

医学博士

日本眼科学会認定専門医

横浜市立大学附属病院非常勤講師(ぶどう膜専門外来)




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