こんにちは。院長の蓮見です。
診察室でよくある会話です。
Dr.「じゃあ次回は3か月後に来てください。目薬は何本欲しいですか?」
患者さん「できるだけ多く出してください。1か月4本くらい欲しいです。」
Dr.「3ヶ月で出せるのは10本までですよ。1回は1滴で十分です。そんなに必要ですか?」
患者さん「でも先生、こぼれたり、うまく入らないのでいっぱい使うんです。じゃあ10本出してください」
点眼が苦手、うまくさせない、目薬がすぐなくなる…そんな訴えはよくあります。
今日は眼科とは切っても切れない目薬に関するお話です。
一般的な処方薬の点眼瓶には5mlの目薬が入っています。
点眼瓶は押したら💧状に薬液が出てくるように設計されており、点眼1滴はおよそ50µl(マイクロリットル=ミリリットルの1000分の1)です。
ですので、点眼1本は100滴分と言う事になります。
点眼瓶の形状は各社様々ですが、点眼瓶が押しやすいものは、指の力が弱った年配の方でもさしやすい一方、強く押すとたくさん液がこぼれるといった問題があります。
個人的には参天製薬や千寿製薬の点眼瓶がさしやすいと思います。
多くのアレルギーの薬、ドライアイの薬、抗菌薬などは1日4回点眼のものが多いので、100割る4=25日分と言う事になり、大体1か月弱で使い切る計算です。
また、点眼液は開封したら、1か月で使い切るようにして、1か月以上たったものは使用しないようにしましょう。これは効果が落ちるというよりも、点眼瓶が汚染されて中に雑菌が繁殖してしまう可能性があるためです。
未開封の目薬は点眼瓶の脇に書いてある使用期限までは使えます。使用期限は2~3年ですので、余った目薬は花粉症の季節が終わったら取っておいて来年に使うというのは大丈夫👌です。
点眼を保存しておく場所は、高温多湿や直射日光のあたる場所などは避け、冷暗所に保管します。冷蔵保存と指示されなければ常温保存で大丈夫です。
冷蔵保存が必要なものは緑内障薬などごく一部です。
目薬を複数さす時は、順番はどれが先でも構いません。点眼と点眼の間隔は5分間くらいあけるようにしてください。すぐに先につけた点眼が流れてしまい、効果が落ちてしまうからです。眼軟膏を使う時は、軟膏を最後に入れるようにします。先に入れると、軟膏によって目薬が弾かれてしまい吸収されません。
点眼後、眼をパチパチすると鼻涙管という涙の排水溝に点眼液が流されてしまい、うまく効果が発揮されません。点眼後は1~2分眼を閉じて点眼液を瞼の中にためるようにします。両目頭を軽く抑えると点眼液が鼻涙管に流れ出てしまうのを防ぐことができます。
点眼量は先ほど1滴は50µlと書きましたが、瞼の中の結膜嚢という部分の容量はおよそ20μℓです。なので、点眼量は1滴で十分なのです。たくさんつけても溢れて流れるだけです。
1回2滴のところ1回1滴にすれば点眼は倍長持ちします。そうすれば3ヶ月10本は5本でよくなります。医療費の抑制にも貢献できます。
点眼がうまく入らない、うまく押せないという方、そのような方には、点眼補助器というものもご紹介できます。
「らくらく点眼」というものです。目薬は各社それぞれデザインが違うのでメーカーから提供される点眼補助器もありますが、他社の製品には使えません。らくらく点眼は大体の目薬瓶に対応しています。
メーカーから提供されるものには、大塚製薬のムコスタ点眼補助器、ファイザーのキサラタン、ザラカムの点眼補助器、などがあります。
点眼の仕方、点眼補助器の使い方などは、動画でご紹介しています。こちらもご覧になってみて下さい。
今日は目薬についての豆知識いろいろでした。