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  • 執筆者の写真HASUMI

自費手術後の合併症に対する治療について

更新日:2023年9月22日

最近、TVコマーシャルなどでもやたらと宣伝している「目の下のたるみ取り手術」。当院は自費の手術はやってないのですが、お問い合わせや患者さんから直接希望を言われることは年々増えている印象です。


目の下のたるみはBaggy eyelidなどと呼ばれ、審美的な理由から好ましくない加齢の変化として捉えられています。これは加齢によって皮下組織が緩んでしまい、眼窩脂肪という目の周りの脂肪が皮膚を押し出して膨らんでしまうのです。

これに対する手術は下眼瞼脱脂術やハムラ法などがあります。特に最近、大手美容外科が盛んに宣伝しているので手術件数はうなぎのぼりのようですが、それに伴って合併症の件数も増えています。

下眼瞼脱脂は結膜側から切開して、脂肪を出すという単純な手術手技から大手美容外科では患者も術者も気軽に行っているようですが、だからといって安全というわけではありません。


下眼瞼脱脂の合併症には、出血、血腫形成、腫れ、ドライアイ、睫毛内反や逆まつげ、瘢痕形成、好ましくない見た目の変化(脂肪のとりすぎによる凹みやシワ形成)などが起こり得ます。深刻なものでは血腫による複視や視力障害もありえます。こうした合併症の治療は、自費手術で起こった医原性の病気なので、原則的に保険治療の対象とはなりません。保険診療というのは、皆さんの診察料は7割は税金から賄われていて、みなさんが窓口で支払っているのは診療費の30%です。美容整形の合併症の治療に公費を使うわけにいきませんから、自由診療で手術を受けるということは、その後の治療もずっと自由診療で受ける覚悟が必要なのです。



今回紹介する症例は、下眼瞼脱脂後に逆まつげになってしまった方です。目頭の逆まつげに対して睫毛の電気分解を行いました。脱脂の合併症を啓蒙したいからブログに出演して欲しいとお願いしたところ了承してくださいましたので写真を使用させていただいております。お写真のご協力ありがとうございました!




目頭の睫毛が不自然に5本くらい上向きに生えています。

瞼をめくると、結膜切開創の癒着があり、その牽引によって睫毛の向きが変わってしまっているようです。電気分解をすると、睫毛はなくなりますがそれでもいいかと伺ったところ、なくなっても良いということだったので電気分解を行いました。


睫毛の電気分解は、針脱毛と同じ原理です。毛根に電極を差して高周波を流して毛根を破壊することで永久脱毛を行います。脱毛は脇などと同じで、完全に生えなくするためには数回の治療が必要です。


費用:10割負担の場合は5500円+税金、麻酔代、診察費用は別途

リスク:麻酔による内出血、腫れ、逆まつげの再発



脱脂の満足度を聞いたところ、長年の悩みが解決してよかったということでした。ただ、ダウンタイムはすごくて、もう二度とやらないでしょうね、とのことでした。逆さまつげになったとしても満足なんですね。まあそう思えるなら良かったのではないでしょうか。

しかし、これが内反の手術などになると手術費用は高額になります。また、瘢痕になったりすると傷は残ってしまいますので、自費の手術を受ける時は、リスクなどもよく調べて受けるようにしましょう。








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