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翼状片(よくじょうへん)とは?

前回は瞼裂斑炎のお話でした。


翼状片は瞼裂斑炎の兄弟みたいなものです。

黒目(角膜)の真横、3時と9時方向から白目(結膜)が角膜の中心に向かって伸びてくる病変です。



初期にはあまり視力に影響しませんが、整容的に赤くて気になる方がいます。


伸びてくると角膜(くろめ)形状に影響して、乱視がひどくなってくることがあります。

乱視は不正乱視といって、眼鏡矯正が難しいタイプの乱視になります。


黒目の中心近くまで伸びてくることもあり、その場合は黒目が覆われて見えなくなります。


ですので、乱視がある程度進んだ段階で手術で切除するのが良いでしょう。


また、最近は白内障手術の時に、多焦点レンズを選ぶ方もいらっしゃいますが、不正乱視があると、多焦点レンズの見え方に悪い影響を及ぼすことがあります。ですから白内障の手術をする前に、ある程度の余裕をもって手術しておくことが勧められます。


手術は伸びている白い膜を黒目から剥がして、根元から切除し、欠損した白目の部分を、他の白目の膜(結膜)から移植する、という手術(有茎結膜弁移植法といいます)です。局所麻酔で日帰りでできます。


手術は30分くらいですが、術後は白目が真っ赤になり、また糸がしばらくゴロゴロします。白目を縫い付けてある糸です。これは大体溶ける糸で縫う事が多いのですが、溶けるまでは1か月~2か月くらいかかります。


術後は再発が10~30%の確率で起こると言われているので、炎症を抑える点眼を長めにつけます。


英語ではPterygiumといいますが、Pはほぼ発音せず、「ティリジウム」と発音します。

以前話した英会話のオーストラリア人の先生は、今までの手術で一番痛い手術だった、とおっしゃっていました。他に何を受けたのかは聞きませんでしたが…。




上の写真は当院で行った翼状片手術の患者様の写真です。

右眼の耳側の結膜が侵入してきており、不正乱視がひどく、視力が出にくかったので手術することになりました。






手術後2か月後の様子です。移植片は生着し、充血もなく経過は良好です。


翼状片の原因はよくわかっていないのですが、統計的に九州や沖縄など、日光の強い、緯度の低いところに多いので、紫外線の影響が言われています。

また、前出の瞼裂斑の炎症を繰り返すと進行すると言われています。赤くてゴロゴロする時は薬で治療した方が良いでしょう。



今日は翼状片のお話しでした!






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