ドライアイの期待の新薬、アバレプト点眼液について
- HASUMI

- 2 日前
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こんにちは。元町マリン眼科です。
今回は、千寿製薬から新しく登場したドライアイ治療薬「アバレプト」についてお話しします。
このお薬は、2025年12月22日に国内で承認され、2026年4月6日に発売されました。
これまでのドライアイのお薬とは、効き方の仕組み(作用機序)が全く異なる画期的なお薬です。

いままでのドライアイ治療との違い
これまでのドライアイのお薬(ヒアルロン酸、ジクアス、ムコスタなど)は、主に「涙を補う」「涙を増やす」「目の表面を整える」といった、いわば「足りないものを足す」アプローチが中心でした。
しかし、ドライアイの患者さんの中には、検査で目立った傷がなくても「目がゴロゴロする」「しみる」「痛い」といった不快感が強く残ってしまう方がいらっしゃいます。
アバレプトは、こうした「不快な症状そのもの」に直接働きかける、新しいタイプのお薬です。
痛みのセンサー TRPV1 をブロック
私たちの目の表面には、刺激を感じ取る TRPV1 (トリップヴイワン)というセンサー(受容体)が存在します。
ドライアイの状態では、このセンサーが過敏になり、わずかな刺激でも「痛み」や「ゴロゴロ感」として脳に伝えてしまいます。
アバレプトの主な成分であるモツギバトレプは、この TRPV1 というセンサーを直接ブロックします。
目の表面にある「痛みのスイッチ」にアバレプトがくっつきます。
スイッチがオフになり、刺激が脳に伝わりにくくなります。
その結果、目の痛みやしみる感じ、不快感が和らぎます。
また、このお薬は神経だけでなく、角膜の細胞や炎症に関わる細胞にも作用し、目の表面の環境を整える効果も期待されています。
実は身近にある TRPV1 の仕組み
この TRPV1 をターゲットにした仕組みは、目以外の分野でも活用されています。
スキンケア・化粧品 敏感肌の方が感じる「ピリピリ」「ヒリヒリ」といった不快感も、肌の TRPV1 が過敏に反応していることが原因の一つです。最近では、このセンサーを落ち着かせる成分を配合した、最新の敏感肌向けドクターズコスメなども登場しています。
痛み止め(貼り薬など) 帯状疱疹の後のしつこい神経痛を抑えるために、このセンサーに働きかけるお薬が使われることがあります。
リップグロス 唇をふっくらさせる「リッププランパー」の中には、わざとこのセンサーを刺激(カプサイシンなど)して血流を良くし、ボリュームを出す仕組みを利用したものもあります。
このように、私たちの体にある「刺激のスイッチ」をコントロールする技術が、いよいよドライアイ治療にも応用されたのです。
薬価と自己負担額の目安
アバレプト懸濁性点眼液0.3%(5mL 1瓶)の費用は以下の通りです。
項目 | 金額(税込) |
薬価(1瓶あたり) | 577.5円 |
3割負担の方 | 約173円 |
2割負担の方 | 約116円 |
1割負担の方 | 約58円 |
※別途、診察料や処方せん料、調剤基本料などがかかります。あくまでお薬代のみの目安としてお考えください。
アバレプトの特徴と注意点
よく振ってから点眼する 成分の粒子が沈殿しているため、使う直前に、白く濁るまでよく振ってください。
点眼後の見え方 点眼直後は、一時的に目がかすむことがあります。運転の際はご注意ください。
冷たく感じることがある 副作用として、点眼時に目に冷たさを感じることがあります。これは温度のセンサーにも関わるお薬の特性によるものです。
防腐剤フリー 防腐剤(ベンザルコニウム塩化物)を含まないため、目の表面に優しい設計になっています。
このような方におすすめです
涙の量は補っているけれど、まだ目がゴロゴロする。
目がしみて、開けているのがつらい。
従来のドライアイ点眼では症状が改善しきれなかった。
アバレプトは、世界で初めてこの仕組みを採用したドライアイ治療薬です。
ドライアイは、乾きだけでなく痛みや違和感が生活の質を大きく下げてしまう病気です。
ご自身の症状に合うかどうか、診察時にぜひお気軽にご相談ください。



