現代社会に住む私達は、様々なストレスに晒されています。
便利な世の中になり、スマホがあれば、いろいろなことがすぐに調べられる、注文できる、いろんなことができるようになった現代人は、待つことが最大の苦痛なんだそうです。
私が若かった頃は、携帯などはもちろんなく、待ち合わせと言えば、駅の目立つところで、いつ来るかわからない相手を待つと言う事は普通にあったことです…、今では会いたいに人に電話して、「どこにいるの?じゃあそっちに行くね。」と言えば済むことですが。
話は逸れましたが、ストレスというのは、時に身体も侵して病気を引き起こすことがあります。ストレス性の胃潰瘍のように器質的な障害をおこせば心身症ですが、器質的な障害なく、症状が強いものを身体表現性障害と言います。身体表現性障害が眼にあらわれると原因不明の視力低下を起こすことがあります。
最近受診した女の子ですが、1年前に作った眼鏡が合わないと言う事でいらっしゃいました。
視力を測ると、両眼どんなに眼鏡を強くしても0.7くらいまでしか上がりません。しかし、近視ではなく、両眼とも軽度の遠視でした。しかし、本人は眼鏡を掛けても見えない、といたって真剣です。お母さんも眼鏡を作ったばかりなのに、すぐに交換しなくてはならないくらい、視力低下してしまったとショックを受けています。
眼球には明らかな病気はなく、視力低下の原因ははっきりとしません。
心因性視力障害の臨床像はこんな感じです。女の子に多く、年齢は小学生からローティーンくらいの年齢に多くみられますが、大人でも稀にあります。
原因となっているストレスは、明らかになることもあれば、本人や親御さんも特に心当たりがない場合もあります。仲の良い友達が眼鏡を掛け始めた、などという些細な理由であることもあります。大人の場合は、見えないことで利益があるケースも見受けられます。
視力障害は、矯正視力が低下するもの、色覚がおかしくなるもの、視野が狭くなるものなどいろいろなタイプがあります。また、症状に一貫性がない事も特徴です。症状の程度も様々で、伊達メガネ(本人には伝えずに)をかければ見えるようになる症例もありますが、あらゆる治療に抵抗性で、視力障害が続くケースもあります。認知療法などの精神科的アプローチが有効なこともあります。
視力予後は良好で、多くは1年以内に視力回復すると言う事です。失明することはほぼありません。若年の方が治りやすく、中学生以上だと、要因となっているストレスが複雑化して治療に抵抗性になるという事です。
もし、お子さんが心因性視力障害を疑われたら、本当は見えてるんじゃないのと責めることなく、温かく見守りながら、ストレスとなっている要因を取り除いていくのが良いでしょう。また、器質的な疾患を除外するために眼科で検査を繰り返しながらフォローしていくのも大切です。
元町マリン眼科には視能訓練士が在籍しています。視能訓練士は弱視訓練などを行う国家資格です。弱視や斜視などが心配なお子様は、視能訓練士枠でのご予約をお勧めいたします。
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